ノルウェーの子供はどのように人権や民主主義を学ぶのか

人権や民主主義を学ぶというと、多くの日本人は難しそうと思うのではないか。ましてや小学生が学ぶには難しすぎるし、第一このようなテーマはせめて中学校の公民でやることだと思われているかもしれない。

ノルウェーでは、すでに小学校の高学年で、性の平等に関する言葉の使い方を、社会科ではなく国語の授業で教えている。日本語で例えれば、『女王』、『女医』や『看護婦』などの表現は、性差別的であるが、他にどんな言葉があるのか、といった学びをする。中学校になると、英語教科でマンデラやガンジー、リンカーン、それにローザ・パークス(注1)などについて学ぶ。最近、中三の息子の英語教科のプリントを偶然に見つけ、その内容に驚嘆した。それはアメリカ大統領選挙に関する内容だった。

くしゃくしゃになったプリントを開き、注意深く読んでみると、次のような問題が書かれていた。

  • アメリカではかつて女性が大統領になったことがあるか。
  • 大統領選挙日はいつか。
  • 大統領就任日はいつか。
  • 2016年選挙の大統領候補者の名前を挙げよ。
  • 二大政党の名前を挙げよ。
  • 選挙権は何歳で与えられるのか。

などだった。またもう一枚のプリントには、ノルウェーとの比較になっており、前述した事柄の他に、各政党ではどのように候補者を決めるのか、また選挙運動がどのような方法で行われているか、などを書き込むようになっていた。学期末に行われた一時間ほどの英語の小テストでは、世界の移民についてが問題だったと言う。(注2)

数年前の朝日新聞に掲載された『声』への投稿でも記述したが、ノルウェーでの政治教育には、目を見張るものがある。例えば息子が小学校6年だった時、6年生と7年生(注3)がそろって街中に赴き、選挙日の二週間前から開いている各党の選挙事務所で各党員(注4)に直接質問をしたり、パンフレットをもらったりする機会が与えられた。また、小学校でありながら、選挙日の数日前の金曜日には、その学校で行われた模擬選挙に6年生と7年生が参加した。それだけではなく、なんと当時の防衛大臣と国会議員の一人が息子の小学校を訪れ、子どもたちの質問に答えたりしたのだ。地元のテレビ局も撮影に訪れ、夕方のニュースで放映された。ちなみに私の息子は、なぜ北海油田開発を進めているのかという質問をした。

テレビを見て驚いたのが、12,13歳という若さでありながら、子どもたちは各政党のことをよく知っていて、どの政治家がどのような政策を持っており、それについて自分たちの意見を明確に述べていたということであった。

ノルウェーでの平等の一つに、年齢の平等もあることは見逃せない。子供だからといって邪険にせず、きちんと意見を聞いてくれるところも見習いたいと思う。

(注1)ローザ・パーク: アメリカ合衆国の人権運動家。1955年、アラバマで白人にバスの席を譲ることを拒否し、逮捕された。後、彼女の誕生日(2月4日)と逮捕された日(12月1日)はローザ・パーク・デーと呼ばれ、合衆国内のいくつかの州で祝う日となっている。

(注2)ノルウェーの小テストや試験は、ある事柄について詳しい説明文を書くことが多い。もちろん語学における文法や数理式などは例外に当たる。日本のように広く浅い知識を求められるのではなく、深い知識を要求される。例えば民主主義について何ページにもわたり、詳しく説明する。

(注3)ノルウェーの小学校は7年生まである。

(注4)選挙事務所には、時折著名な政治家も現れ、子どもであろうとだれでも話をすることが可能である。