ルードヴィヒ・ホルベルグ

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撮影: リングダール裕子

ノルウェーで一番最初に性の平等を訴えた人は誰だろうか。1684年12月ベルゲンで生まれ、作家、哲学者、歴史家、劇作家であるルードヴィヒ・ホルベルグ(ウィキペディアではルズヴィ・ホルベアとなっているが、ここでは彼の母国語のノルウェー語に近いカタカナで表記することにする)はノルウェー最初のフェミニストと言われる。

ホルベルグは「ニルスの地下の旅」という冒険物語や他の物語で、当時としては非常に斬新なことを訴えた。例えば物語の中で、男女の差もなく才能や適切で雇用が決められたり、児童手当が存在したり、また男性ではなく女性が全ての権力を握っていたり、男性が家事をするかと思えば外では単純な仕事をさせられたりということだった。当時は当然のように男性がいわゆる『重要な』役所などの仕事に就いていた訳だが、ホルベルグは男性はむしろ力仕事をするのがふさわしく、女性に役所や裁判所での仕事をさせるべきであると主張していたのだ。

「ニルスの地下の旅」は当時の人にとってあまりに急進的であったため、初出版は無記名で出さなくてはならなかった。そして1741年にラテン語でようやく出版にこぎ着けたのだが、この本のおかげでホルベルグはヨーロッパ中で一躍有名になってしまった。

ホルベルグの銅像は現在ベルゲンの中心地に立って、ベルゲンのフィヨルドを見下ろしている。またベルゲン大学ではホルベルグの偉業を記念し、毎年人文学、社会学、法律学または神学の分野における優れた研究に対して「ホルベルグ国際記念賞」を授与している。また、ユーモアたっぷりにホルベルグを描いた絵画も有名である。このようにホルベルグはベルゲン市民の中で忘れてはならない人物の一人となっているのだ。