学生新聞、Studvest (ステュードベスト、2014年3月5日付)

Studvest (ステュードベスト) というのは、西ノルウェーの学生連盟が発行している学生新聞である。日本語を教えながらジェンダースタディーのコースを聴講していた私は、学生食堂でクラスメートと共に勉強しているときに、インタビューされた。以下はその記事の翻訳である。

国境を越えた男女平等

メアリー · エドワード(25)さんによると、ガーナの女性は特定の職業にしかつかないそうだ。ノルウェーの女性はほとんどどんな職にもつけるのだが。(写真)

世界の様々な国における国際女性デーについて。

記事エリー · セクルーセ、アップデートは3月5日1時45分AM

「男性が乳母車を押して歩いているのを見ると、とても嬉しくなるんです。」

ガーナ出身のメアリー · アドワード(25)さんは昨年の8月にベルゲンに来たばかり。ノルウェー社会での男女平等を見て、このようにあるべきだという。

「ノルウェーでは女性がほとんど何の職業にもつける。でもガーナでは限られています。ほとんどの女性は仕事に就く代わりに、家で子どもの面倒を見ることを選択することが多いんです。」

エドワードさんによると、それでも西アフリカの男女平等は、ここ数年の間に非常に大きく変化して来たという。

「現在のガーナ政府には独自の女性と子どものための省があり、国際女性デーのためのイベントも計画されているんです。ガーナもずいぶん変わってきました。他のアフリカ諸国もこれに続いて来ています。」

言語学を勉強しているエドワードさんは、女性が自分の可能性を見いだすことに情熱を注いでいるという。

「女性は家事に縛られていてはいけないんだということに気がついて欲しいと思います。ノルウェーはいろいろな意味で、男女平等の先端を行っています。例えば男性が乳母車を押しながら道を歩いていますが、こういう光景を目にするのがたまらなく嬉しいです。」

ポーランドでは花やプレゼントをもらいます。

3年間(5年間の誤り)のノルウェー滞在では、たいして国際女性デーについては気がつくことはないと言う、マリア · ボッチェヴイツさん(22)

「ポーランド人にとっての国際女性デーは、男性が花かプレゼントを母親や、姉妹、彼女に渡し、女性に対して感謝を表す日。個人的にはあまり気にしないんですが、女性が日常的に感謝されるのは良いことだと思います。」

教育学を学ぶ彼女だが、男女同権については、ポーランドよりノルウェーの方がかなり進んでいるという。ポーランドでは、女性が男性ばかりの職業に就くことはまだまだ難しいそうである。

「ノルウェーでは、私が機械技師になりたいといっても、だれも変な顔をしません。でもポーランドではそうはいきません。この国に来て、いわゆる男性的な職業に就くために勉強しているポーランド人の女性をたくさん知っています。」

ノルウェーで女性のイスラム教徒であることの居心地の良さ

マナール · アディル · フセイン · アワドさん(22)は、国際女性デーを祝ったことが一度もないが、世界中どこに行っても、女性のための活動は重要だと思うと言う。

「イスラム教では、3月8日を祝う伝統はありませんが、女性の権利に関心がないわけじゃありません。イスラム教の国での女性の地位は、それぞれ差がありますが、宗教そのものというより文化の違いが要になっています。」

アワドさんはマロッコで生まれたが、ノルウェーには13年間住んでいる。熱心なイスラム教徒であり、誇りを持って頭を覆うヒジャブを使用している。

「私に取って、ヒジャブは装いの一部だけでなく、内面の安心感を与えてくれます。他の人から、私は差別されていると誤解されないように、守ってくれるのです。だから、多くの人がそのように誤解しているのは、大変辛いです。」

ちなみにノルウェーでは、彼女がヒジャブを附けていることに目を細める人は少ないという。

「だから、ノルウェーで女性のイスラム教徒であることは、居心地が良いです。男女平等という考え方が浸透しているのに、感謝しています。」

女性とセクシャリティーについてあまりにもタブー視しすぎる

日本出身のリングダール · 裕子さん(50)はジェンダースタディーズのコースを取っており、女性に関する権利の運動には、非常によく関わっているという(運動ではなく、執筆活動と行った方が正しいのだが、本人曰く)。

「日本では、仕事と育児の両立が大変難しく、それが社会の問題になっています。高学歴の女性は出産後、同じ仕事に戻れないことが多く、単純なパートの仕事しかありません。」

リングダールさんが言うには、このために女性が出産よりも仕事を選ぶために、出生率がどんどん減少しているということだ。

「日本に比べノルウェーでの男女平等権はずっと進んでいますが、それでもノルウェーの女性はまだまだ活動することが必要です。特に(私は『例えば』と言ったつもりだが)性に関することでは、例えば男性がセックスについてオープンに話しても、誰も変に思わないかもしれませんが、女性がしたらはしたない、ふしだらな女性と思われてしまいます。(モアリポートについても言及した)

ノルウェーに来るまで国際女性デーのことを聞いたことがなかった

フィンランドは女性が住むことに関して世界でも指折りの国だが、イエニー · エツエルさん(25)は、ノルウェーに来るまで国際女性デーのことを聞いたことがなかったと言う。

「フィンランドでは国際女性デーを祝うという伝統はありません。私としては女性の日を祝うということ自体は、必要だと思いません。でも、現代の世の中では、このような日を祝うということは良いことだと思いますし、あまり大勢の人がお祝いしないのは残念だと思います。」

エツエルさんは男女の権利について、ノルウェーとフィンランドの違いを意識することはほとんどないそうだが、いずれにしても、どちらの国も給料の面では、もっと働きかけが必要であると説く。

「男性の多くが選択する職種は決まって高給になっていますが、これは非常に残念なことです。女性が選択する職種はそれに比べてずっと低いのに。」

大学院院生の彼女は、国際女性デーを祝うのは当前のことだという。

「本当は女性軍を集めて、ちゃんとした『本当の女性の力を見せるパーティー』をするべきだったと思うんです。でも一番大事なのは、ここまで男女平等が進んだことに対して、感謝するということだと思います。」

女性を一人にしてはいけない

クルド人学生連盟のリーダー、ベーマン · アブデュラティズさん(26)は、土曜日の国際女性デーを連盟ではダンスとごちそうで祝うと言う。

「この日は自由のための日ですから、お祝いするべきです。それに女性の権利のためにこれからも活動を続けるし、この日に世界の女性を孤独のままにしてはいけないと思います。」

アブデュラティズさんが言うには、クルド人はこの日を記念するために、しっかりとした伝統を築きあげてきて、この国際婦人デーには何千人もの女性が毎年行進するという。

「クルド人として、この日は私にとって普通の日であると言えます。毎日が私たち女性のために戦う日です。ノルウェーは女性の権利に関してはずいぶんと進んでいます。でも、記念日を祝うことを怠ってはいけません。自分のために、そして他の人のためにも。」

アブデュラティズさんにとって一番大切なことは、世界中どこでも女性が男性と同等に評価されるということだそうだ。

「あまりにも多くの国で、女性はただの物としてしか見られていません。男性が良い車を持つのと同じように、良い妻を持つという具合に。どこにも公正なところはないのです。」

今年の国際女性デーは今までよりもさらに重要です

最後に、ノルウェー人のソフィー · マールハウグさん(23)は文学を専攻し、赤党の市議会委員でもある。女性デーはフェミニズムの大切な伝統になっている。

「この日は女性問題を見直す大切な日です。3月8日だけでなく、その週全体が男女平等を実現可能にできるのです。」

マールハウグさんは国内での男女平等に不安があるという。だからこそ今年の国際女性デーは特に大事なのだ。

「昨年は女性の参政権の100周年記念の年で、いろいろな意味での祝いの年でした。今年は政権交代のために、男女平等が危うくなっています。今の重要な議題としては、医師の中絶拒否権と売春取り締まり法です。二つとも改正させられる可能性がありますから。」

ノルウェーのように世界の中でも高水準にある国で、女性の権利が危うくなっているのは、市議会委員として、非常に残念であるという。

「ノルウェーはいろいろな意味で世界の見本になっていますが、権利について戦うのと、共同一致して世界中の女性の権利のために戦うのとは、矛盾していることではないということを認識する必要があります。」

男女平等インデックス

1、ノルウェー

10、日本

21、フィンランド

39、ポーランド

130、マロッコ

131、イラク

135、ガーナ

PS 日によって、どの学生が一番最初に掲載されるのか、違ってきます。ご了承の程を。リングダール · 裕子

 

 

 

 

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