サロンとは

サロンというと、まず最初に思い浮かぶのが、ビューティーサロンや日焼けサロンとよばれる、美容に関するサービスを受ける場所だろう。実はサロンと言う言葉は、17世紀にフランスで生まれ、当時の上流社会の女性が政治などを討論した場所なのだ。上流階級にとどまらず、ブルジョア階級の女性もこぞってサロンを開き、文化や政治、哲学などを討論し、出版されていった。サロンはイギリスや当時のプロイセン、またアメリカの植民地にも広がった。

具体的に何が討論されていたかというと、例えば結婚関係において女性はパートナーの従属に甘んじていなければならないのか、家庭の外で仕事を持つ権利はあるのか、また女子教育についてなどだった。

サロンはスウェーデンにもあったと記録されているが、ノルウェーには残念ながらなかったようである。というのもサロンは多かれ少なかれ上流階級を中心に行われ、当時のノルウェーはデンマークの支配下にあり、元々貴族階級はなきに等しいほどだったというのが理由であろう。

何はともあれ、サロンがノルウェー平等史に貢献していることは間違いない。島国の日本と違い、ヨーロッパは地理的にも非常に近く、文化や言語の面でも互いに影響を与え、そのために多少言葉が違ってもコミュニケーションを取るのはそれほど難しくなかったのだ。フランスで17世紀に生まれたサロンは少しずつ北を目指し、ノルウェーまで影響を及ぼすようになったのも、それほど長い時間がかかった訳ではないのである。

参考資料

– Danielsen, Larsen og Owesen (2013), Norsk Likestillingshistorie, Oslo, Fagbokforlaget
– Lønnå, Elisabeth (2014), Kvinnebevegelsens historie, Store Norske Leksikon